うつ病
憂うつな気分、気力の減退、などの精神症状と、不眠、食欲不振、倦怠感などの身体症状が中心の病気です。主に、休養と薬物療法で治療します。最近、非定型うつ病、新型うつ病、未熟型うつ病、職場結合型うつ病、ディスチミア親和型うつ病などが提唱され、従来のうつ病より治りが悪いと言われています。このようなうつ病の場合には、休養と薬物療法に加え、積極的なカウンセリング、専門リハビリテーションなどを組み合わせて治療します。
躁うつ病
うつ状態のみならず、躁状態を合わせ持った病気です。躁状態というと気分の高揚感を思い浮かべますが、イライラ感が中心の方も多いです。感情調整剤(mood stabilizer )などの薬物療法が中心となります。
最近では、双極性障害と言われるようになり、しっかりとした躁状態がある双極Ⅰ型障害、躁状態が軽躁状態に留まる双極Ⅱ型障害に分けられます。
適応障害
なんらかのストレスから、抑うつ気分や不安感が出てくる病気です。新しい職場に異動になった、昇格して自分の仕事のみならず部下のまとめ役をしなければならなくなったなどが多い原因です。患者様の話を良く聞いて状況を把握することと、環境調整を行なってストレスを減らすことが治療の中心となります。薬物療法、カウンセリングも行います。
パニック障害
急に心臓がどきどきして、息が苦しくなって、手足がしびれて、このまま死んでしまうのではないか?気が変になってしまうのではないか?という10分程度の不安発作が中心の病気です。電車に乗った時に不安発作が起こると、また電車に乗った時に不安発作が起こるのではないか?といった予期不安も出てきます。SSRI等の薬物療法を中心に治療します。
強迫性障害
強迫行為(手を洗ってもきれいになった気がせず何度も手洗いをしてしまう、車のドアを閉めても、閉め忘れた気がして何度も確認してしまうなど)や強迫観念(刃物を持つと他人に切りつけてしまうのではないか?と心配して刃物が持てない、屋上へ出ると飛び降りてしまうのではないか?と心配して屋上にでられない)が中心の病気です。SSRIを使った薬物療法が中心になります。
身体表現性障害
心理的ストレスが原因で、腰が痛い、頭が痛い、など身体の症状が出てくる病気です。薬物療法やカウンセリングを中心に加療します。
摂食障害
拒食症(自分が太っていると感じてあまり食べない、食べた物をはき出す、下剤を使うなど)や過食症(いらいらしたときに食べ過ぎてしまう、そして吐く)などがあります。薬物療法や精神療法で治療します。
パーソナリティー障害
性格の偏りが中心の病気です。パーソナリティー障害の中では、ボーダーラインパーソナリティー障害がよく見られます。気分がすぐに動揺する(ハイな気分になったり、落ち込んだりが激しい)、慢性的な空虚感がある、見捨てられてしまうのではないか?という不安が強い、自殺したいほどに落ち込むことが多く、リストカットをしたり大量服薬をすることを繰り返すなどの症状が見られます。薬物療法、カウンセリングで加療します。
統合失調症
陽性症状(被害的な内容の幻聴や被害的な内容の妄想)と陰性症状(気力が低下する、意欲がなくなる、清潔を気にしなくなる、引きこもる)が中心の病気です。10代後半から20代に好発します。陽性症状に対してはメジャートランキライザー等の薬物療法が、陰性症状に対してはデイケアへ参加して頂くなどのリハビリテーションが治療の中心となります。
認知症
物忘れや失見当識(日時、場所、人の顔がわからなくなる)が中心の病気です。
BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と言って、物盗られ妄想、抑うつ気分、身体のことを気にする心気症状、易怒性などが出現したりします。薬物療法や介護の工夫、デイサービス等への参加などのリハビリテーションを合わせて治療します。
発達障害
脳の発育が遅れるために諸症状がでる病気です。精神発達遅滞、自閉症、注意欠陥多動性障害などがあります。いずれも、療育指導が主な治療になります。
精神発達遅滞とは知的障害のことです。いわゆる知能検査を行って、IQが70未満であるとこの診断とされます。運動が苦手のことも多く、時にてんかんを合併します。
自閉症とは、言葉の発達の遅れ、社会性の障害(友だちと遊べない)、こだわり行動があることから診断します。2歳頃に、言葉の発達の遅れで発見されることが多いです。自閉症の中で、言葉の発達の遅れがないか少ないものをアスペルガー症候群と言います。自閉症の療育指導には、ABA(Applied Behavior Analysis:応用行動分析)、TEACCH(Treatment and Education for Autistic and related Communication handicapped Children)プログラム、PECS(Picture Exchange Communication System)などがよく用いられます。
注意欠陥多動性障害とは、不注意、多動、衝動性などが中心の病気です。小学校に入学し、授業中に席についていられず歩き出したりすることで発見されることが多いです。メチルフェニデート(コンサータ)、アトモキセチン(ストラテラ)などの薬が著効する方もいます。SST(Social skill Training)やペアレントトレーニングがよく行われます。